百年文庫48「波」菊池 寛 八木義徳 シェンキェヴィチ

「俊寛」菊池 寛

平家打倒の陰謀に加担したとして、成経、康頼とともに鬼界ヶ島に流刑となった俊寛の物語です。

ある日、島に赦免の使者を乗せた船が到着しましたが、俊寛だけが赦免されず島に残されました。成経と康頼を乗せた船が島を離れる時、俊寛は声が出なくなるほど叫び助けを求めました。

失意の末、俊寛は煩悩を起こすことのないこの島が唯一の浄土ではないかと思い始めます。

その後の俊寛はロビンソン・クルーソーのように島に適応して、やがて島の娘と結婚します。

絶望の中に新たな人生を切り開いていく俊寛の姿に勇気・希望を見た思いになりました。

 

「劉廣福」八木義徳

1944年芥川賞受賞作品です。

劉廣福(リュウカンフク)は巨大な体躯に童顔、そして吃音がありました。天涯孤独の彼には許嫁がいて、結婚資金を貯めるために、満州の工場で働き切り詰めた生活をしていました。そんな彼はいくつもの困難を乗り越えて工人たちの信頼を得て行きます。

忍耐強く誠実に努力している劉廣福の内面が見えてきたときの感動が心地よく胸に残ります。

 

「燈台守」シェンキェヴィチ 吉上昭三 訳

作者はポーランドの国民的作家で、1905年にノーベル文学賞を受賞しています。

主人公スカヴィンスキは諸国を流浪の末、燈台守の仕事に着きました。彼はこの燈台を安住の地として毎晩明かりを灯してきました。そんな彼の元にニューヨークのポーランド教会から母国語の本が届きます。40年ぶりに祖国の言葉で音読する場面がクライマックスです。しかしその後、彼に何とも言い難い悲劇が訪れるのです。

祖国への張り裂けそうな思いに駆られるスカヴィンスキを多くの読者が案ずることでしょう。

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