「ことば」について考えよう

百年文庫16「妖」坂口安吾、檀一雄、谷崎潤一郎

「夜長姫と耳男」 坂口安吾

夜長姫は幼さが残る笑顔の奥に残忍な性格を持っています。しかし、ヒダの匠耳男は、その美しい笑顔に魅了されてしまうのです。当時、この地にも天然痘が流行していて多くの死者が出ていました。それなのに夜長姫は、耳男が搾った蛇の生き血を飲み、人々が苦しみの末死んでいくのを笑顔で眺めているのでした。それを見て耳男は、姫を殺さなければこの人間世界はもたないと思いました。夜長姫の心情を知る結末がクライマックスとなります。

「光る道」壇一雄

夢のような物語です。名もない宮廷の衛士が姫宮の願いに応じて一緒に逃げるのという展開。「吹きなびくススキの葉揺れははてしもなくて、その中に弱い呻吟と……」「葦の葉のこまかい影の文様が姫宮の……」など姫宮の姿が美しく描かれています。ストーリーもさることながら、その文章の美しさに魅了されました。

「秘密」谷崎潤一郎

浅草界隈を舞台に静かに展開していく秘密の話。

「私」は女装という願望を叶えて夜の街に入っていましたが、ある夜、かつて航海の途中でしばらく関係を持った女性と再会します。私は毎晩のように女性の所に通うようになりますが、これもまた秘密なのです。

淀みなく自然に流れていく文章に誘われ、思わず作品の世界に入っていってしまいました。

(016)妖 (百年文庫)

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