「塀についたドア」H・Gウェルズ 阿部知二 訳
ウォーレスは、子供のころ壁についたドアの向こうの庭園に足を踏み入れました。彼はそこで女がひらく本を見たのです。その本のページは生きていて、彼自身の姿が見えました。それは彼自身の物語だったのです。彼は大人になり高名な政治家になってからも、もう一度ドアの向こうに行ってみたいと思っていました。そしてある日……。
「わかれ」シュニッツラー 山本有三 訳
男の名前はアルベルト。その不倫相手の女はアンナといいました。でも、この名前が出てくるのは物語がだいぶ進んで、そのタイミングが絶妙なんです。
物語は、女が何の連絡もなしに男の所に来なくなったことから始まります。男はずっと待ち続けますが、時が経つにしたがって不安がつのっていきます。そんな男の心の動きが詳細に描かれています。
「第六七二夜の物語」ホーフマンスタール 富士川英郎 訳
主人公は、ある商家の若い息子。彼は四人の召使いを雇って暮らしていました。彼は、召使いたちによって死の中へ追いやられます。下男は町へ、老婆は宝石商の店へ、娘はその奥の部屋へ、小娘は温室のなかへ彼を追いやりました。感覚の世界に入り込む夢幻的な物語です。
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