「ことば」について考えよう

百年文庫25「雪」加能作次郎 耕 治人 由起しげ子

「母」加能作次郎

生後7,8ヶ月で実母を亡くし、第二の母に育てられた「私」。継母と継子という宿命のために互いに苦しみ、共に不幸を嘆じました。そのことを認めながらも、今は亡き第二の母の面影を懐かしく偲んでいるのです。実子ではない「私」を温かく抱きしめてくれた亡き母への思い出が綴られています。

「東北の女」耕 治人

「自分」の妻芳子は「能代」の生まれです。その能代から芳子の姪の幸子が上京し、四畳半と三畳のアパートで三人の生活が始まりました。自分は幸子が自分の子供になることを受け入れられないでいたのですが、過労で二週間療養している間に気持ちが洗い落とされ、満ち足りた気持ちになっていきました。その後、自分は幸子を連れて能代に正月をしに行きます。主人公の幸子に対する気持ちの変化に人の温かみを感じました。

「女中ッ子」由起しげ子

聞き覚えのあるタイトルだと思ったら、1955年に左幸子主演で映画化されていました。

主人公、初は山形から上京し加治木家の女中となります。その家には三人の子供がいて、二番目の勝見(9歳)との関わりが物語を展開させていきます。勝見は独立不羈の子供で家族から別格の扱いを受けていました。そんな不遇な少年を初が懸命に守るのです。

初が勝見に別れを告げるために学校へ行ったラストシーンが何とも切なかったです。

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