「附属」と「付属」の違いと使い分け

大学の「ふぞく学校」の表記を見ると、「○○大学附属中学校」「○○大学付属中学校」の2通りがあります。

何故「附属」と「付属」の表記の違いが生じたのでしょう。

また、「附属」と「付属」をどのように使い分けたらよいのでしょう。

ということで、今回は、「附属」と「付属」の違いと使い分けについて調べてみたいと思います。

「附属」と「付属」の意味

はじめに、「附属」と「付属」の意味を「日本語大辞典(講談社)」で調べてみました。

「ふぞく」を引くと、

【付属・附属】

主となるものに付き従っていること・もの

とありました。「付属」も「附属」も意味は同じです。

そこで、「付」と「附」をそれぞれ引いてみると、

「付」と「附」の意味

「付」とは

【付】

①つける。つく。「添付」「付加」「付近」「付着」

②わたす。さずける。あたえる。「下付」「回付」「還付金」「給付」「交付」「納付」「付与」

「附」とは

【附】

つく。つける。そえる。「附則」「附属」「附録」

(参考)法令以外では、多く付を用いる

とありました。

(以上出典元:「日本語大辞典」講談社)

「付」は「つける」と「わたす」の二つの意味をもち、「附」は「つける」という意味だけをもっています。

「日本語に強くなる本(省光社)」によると、戦前、「付」と「附」は使い分けられていたようです。

つまり、「つく・つける」という意味を含む「附属」「附表」などには、「附」を使い、「わたす・さずける・あたえる」という意味を含む「交付」「給付」「付与」などには、「付」使っていたということです。

しかし、「付」にも「つく・つける」という意味があったため、戦後の国語施策により、字が簡単な「付」が多く使われるようになったようなのです。

「附属」か、「付属」か

昭和21年11月16日内閣告示の「当用漢字表」には、「付」と「附」の両方が採用されています。

当用漢字の選定では「意味が同じで音も同じ場合は、どちらか一方だけにする」という方針があり、「付」に一本化されるところでしたが、日本国憲法に「附」が使われていたために両方が採用になったのだそうです。

その後、国語審議会が当用漢字の見直しを行い、昭和29年3月15日の「当用漢字補正資料」の削る字の候補28字に「附」が入りました。「付」だけでも不自由しない。「付」と「附」の使い分けが難しい。という理由だったそうです。

結局、この「当用漢字補正資料」は文芸界や教育界・法曹界の反対により内閣告示にはならず、公用文や教科書などの漢字使用には影響しませんでした。

そのため、「附」は現在も常用漢字にあり、政府の公用文などでは「附属」を使っているというわけなのです。

常用漢字表 本表

漢字 音訓 備考

つける

つく

付与、交付、給付

付ける、名付け

付く、気付く

 

⇔着ける、就ける

⇔着く、就く

附属、寄付

[出典元:文化庁 新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)]

なお、文化庁は、「附属」と「付属」について「漢字表記の「ゆれ」について(報告)2」の中で次のように述べています。

「付属」と「附属」――「附」「付」は古くから通じて使われている。「付」は字画が少ないので、今日では、「付属」を採ることが望ましい。

出典元:文化庁「漢字表記の「ゆれ」について(報告)2」

つまり、「附」も「付」も常用漢字ですが、「当用漢字補正資料」の考え方は受け継がれていて、「常用漢字表」には、語例として「附属」「寄附」が掲げられているけれども、なるべく「付」を用い、「付属」「寄付」と書き表したほうが望ましいということのようです。

また、文部科学省用字用語例には次のように示されています。

見出し 表外漢字・表外音訓等 書き表し方 備考

附則、附属、附帯、附置、寄附

付記、付随、付与、付録、交付、給付

[出典元:文化庁 新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)]

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これは、公文書では「附則、附属、附帯、附置、寄附」に「附」を用いることを示しています。

国・公立の「ふぞく小・中・高等学校」が「附属」となっている理由がここにありました。

なお、新聞界では、前述の「当用漢字補正資料」を「当用漢字表補正案」として採用し、「付属」を使うこととし、現在に至っているということでした。

と、ここまでは「附属」と「付属」の変遷について書いてきましたが、ここで少し「附属」と「付属」の使い分けについて触れてみたいと思います。

「附属」と「付属」の使い分け

法令および公用文では

法令および公用文では、「附則、附属、附帯、附置、寄附」だけに「附」を使い、それ以外は全て「付」を使うことになっています。

したがって、国公立大学では例外なく「○○附属中学校」と表記しています。

一方、私立大学では、正式名称として「○○付属中学校」と表記している学校もあります。

新聞社では

新聞社では前述のとおり、「附」の不使用を決めているため「附属」を「付属」と表記します

例えば、「附属品」「付属品」、「大学に附属した図書館」は「大学に付属した図書館」となります。

ただし、固有名詞である学校名については、「○○附属中学校」と表記しています。

ある記事には、「国立大学附属高校が不合格となり、私立大学付属高校に進学した」と「附属」と「付属」を明確に区別した記載がありました。

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • 「付」も「附」も常用漢字である。

「附属」

  • 「附」を使うのは「附則、附属、附帯、附置、寄附」の五つだけ。
  • 「附属」は、その中の一つ。
  • 「附属」は、法令・公用文で使われている。

「付属」

  • 「付属」は、新聞社などをはじめ一般的に使われている。

法令や公用文以外であれば、「付属」と書いて問題はないということですね。ただ、気を付けなければならないのは、固有名詞としての学校名を書くときです。「附属中学校」なのか「付属中学校」なのかを確かめておく必要があります。

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「附属」と「付属」の違いと使い分け” に対して4件のコメントがあります。

  1. 橋下 より:

    本当に分かりにくい解説だね。逆にどうしたらここまで冗長で複雑に書けるのか聞いてみたいわ。
    自分で読み返してみても訳が分からないのでは?読者のことなど一切考えていないのが分かる。

    1. kakkou より:

      アドバイスありがとうございました。
      分かりやすい記事になるように努力いたします。

  2. より:

    なるほどそういうことですね。
    何気なく使っていたのですが、そういった経緯があったのですね。
    よく理解できました。ありがとうございました。

    1. kakkou より:

      記事を読んでいただき、ありがとうございました。
      少しでもお役に立てたとしたら、とても嬉しいです。
      今後ともよろしくお願いいたします。

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