「追求」と「追究」と「追及」の意味の違いと使い分け
「解決できなかった部分を別の手段で追究する」
「問題を見付けて追求する」
など、「ついきゅう」は使い分けが難しい言葉のひとつです。
今回は、
「追求」と「追究」と「追及」の意味の違いと使い分け
についてお伝えします。
はじめに「大辞林第三版」で「追求」と「追究」と「追及」の意味を引いてみました。
目次
「追求」と「追究」と「追及」の意味
「追求」の意味
「追求」
目的とするものを手に入れるためねばり強く追い求めること。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
「目的とするもの」とは、
- 企業であれば「利益」
- 製品開発であれば「使いやすさ」
- 芸術・作品であれば「リアリティ」
などです。
他にも
「夢」「幸福」「願望」「目的」「理想」
などがあります。
こうした「目的とするもの」を追い求めるのが「追求」です。
「追究」の意味
「追究」
(学問的に)不確かなことや不明なことをどこまでも探究すること。
深く考えきわめること。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
「探求」とは、
「物事の真相・価値・在り方などを深く考えて、すじ道をたどって明らかにすること」
です。
「(学問的に)不確かなことや不明なこと」とは、
例えば、
- 「真理」
- 「学問」
- 「理論」
- 「本質」
- 「化学」
- 「宇宙の謎」
などのことです。
こうした「(学問的に)不確かなこと」を明らかにするのが「追究」です。
「追及」の意味
「追及」
① 責任・欠点・原因などをどこまでもくいさがって問いただすこと。
② 追いかけてあとから追いつくこと。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
ここで問いただす対象は、
- 「責任」
- 「欠点」
- 「原因」
- 「余罪」
- 「問題」
などですが、
- 「大臣を追及する」
- 「犯人を追及する」
など役職や人物であることもあります。
「追求」と「追究」と「追及」の違い
「追求」と「追究」と「追及」に共通しているのは、「ねばり強く」「どこまでも」「どこまでもくいさがって」とあきらめずに目的に向かって行く点です。
「追求」は「追い求める」で、目的のものを手に入れようとしてどこまでも追いかけていくことです。
「追究」は「追いきわめる」で、主として、まだ、その実体・事実などがよく分かっていない事柄について、どこまでも、追いきわめていくことです。
「追及」は「くいさがり、追い詰める」ことです。
「後から追いつく」という意味もあります。(出典:「日本語に強くなる本」省光社)
しかし、「追求」と「追究」と「追及」では、その対象が違います。
- 「利益」「良さ」「利点」などを求める場合は「追求」
- 「真実」「本質」などを求める場合は「追究」
- 「責任」「欠点」「原因」にくいさがるのが「追及」
「追求」と「追究」と「追及」の使い分け
「追求」と「追究」と「追及」の使い分けを例文で確認します。
「追求」を使った例文
- 彼女は新聞記者になるという夢を追求した。
- 彼は権力からの自由を追求した。
- 利益や効率を追求しすぎると、顧客の支持を失ってしまうことがある。
- 大切なのは、人生の価値を追求し続けることだ。
- 幸福の追求は、私たちの権利です。
※「幸福の追求」は「幸福を手に入れようとすること」ですが、「追究」を使うと「幸福の本質を明らかにする」という意味になります。
「追究」を使った例文
- 将棋の可能性の追究
- 真理を追究して闘った天才たち
- 文学を追究していくうちに、俳句の素晴らしさに出会った。
- 究極の美の追究が彼女の絵画のテーマである。
- この事故の原因を追究することで、事故の未然防止を図りたい。
※「原因を追究する」は、「原因を明らかにする」という意味ですが、「追及」を使うと、「相手の責任を問いただす」意味になります。
「追及」を使った例文
- 犯人の余罪を追及する。
- 刑事責任を追及する。
- 嘘を追及する。
- 当事者の責任を追及する。
- 追及の手をゆるめない。
- 野党は環境大臣を追及した。
- 責任の所在を追及する。
- 本隊を追及する。
- 後続ランナーの追及を振り切った。
まとめ
今回は「追求」と「追究」と「追及」の意味の違いと使い分けについてお伝えしましたが、いかがでしたか?
最後にポイントをまとめます。
「追求」→「目的とするもの」をどこまでも追い求めること。
「追究」→「(学問的に)不確かなこと」をどこまでも明らかにすること。
「追及」→ 「 責任・欠点・原因」などをどこまでもくいさがって問いただすこと。
使い分けに迷ったら、それぞれの漢字の意味を思い出してください。
例文を参考にすると、使いたい漢字が見つけやすいですよ。