「受験」と「受検」の意味の違いと使い分け

「受験シーズン」がやってきました。

毎年、新聞やテレビで耳にしているこの「受験」という言葉ですが、もう一つ「受検」という言葉があるのは御存知のことと思います。

それでは、なぜ「受験」と「受検」という二つの言葉があるのでしょう。

ということで、今回は、

「受験」と「受検」の意味の違いと使い分け

についてお伝えいたします。

「受験」と「受検」の意味の違い

まずは、「受験」と「受検」をデジタル大辞泉で引いてみました。

「受験」とは

試験を受けること。

「大学を受験する」

「受験シーズン」

(出典元:「デジタル大辞泉」コトバンク)

「受検」とは

検査・検定を受けること。

(出典元:「デジタル大辞泉」コトバンク)

なるほど!

「受験」とは試験を受けることを言い、「受検」とは検査・検定を受けることを言うんですね。

さらに、「試験」「検査」「検定」について調べると、

「試験」とは

入学・入社・登用などの採否を決めるため、問題に答えさせたり実技をさせたりして、学力・知識・能力などを判断・評価すること。

「試験に受かる」

「実技の試験」

「面接試験」

「筆記試験」

(出典元:「デジタル大辞泉」コトバンク)

「検査」とは

ある基準をもとに、異状の有無、適不適などを調べること。

「所持品を検査する」

「適性検査」

(出典元:「デジタル大辞泉」コトバンク)

「検定」とは

一定の基準に基づいて検査し、合格・不合格、等級などを決めること。

「語学力を検定する」

「含有物質を検定する」

「検定済み」

(出典元:「デジタル大辞泉」コトバンク)

つまり、

  • 「受験」は、問題に答えたり実技をしたりして、学力・知識・能力などの判断・評価を受けること。
  • 「受検」は、一定の基準に基づいた検査を受けること。

となります。

「受験」と「受検」の使われ方

国内の主要都市にある教育委員会・都内の私立高校・国立大学の付属高校のホームページを見て、「受験」と「受検」の使われ方を調べてみました。

教委・高校 要項 受験・受検 検査・試験
T教育委員会 入学者選抜実施要綱 受検 学力検査
O教育委員会 入学者選抜実施要項 受験 学力検査
A教育委員会 入学者選抜実施要項 受検 学力検査
F教育委員会 入学者選抜要項 受検  学力検査
M教育委員会 入学者選抜要項 受験 学力検査
H教育委員会 入学者選抜要項 受検 学力検査
私立K高等学校 募集要項 受験 入学試験
私立W高等学校 入学試験要項 受験 入学試験
私立R高等学校 入学試験要項 受験 入学試験
T大学付属高等学校 生徒募集要項 受検 学力検査
G大学附属高等学校 生徒募集要項 受験 学力検査
O大学附属高等学校 生徒募集要項 受検 学力検査

 

公立高校の入試は、その設置者である各都道府県が実施しています。

その各都道府県教育委員会の多くが、「入学者選抜要項」「受検」「学力検査」という用語を使っています。

国立大学の附属高校では、「生徒募集要項」「受検」「学力検査」と使っています。

それに対して、私立高校では、「入学試験要項」「受験」「入学試験」という用語を使っています。

公立高校の「入学者選抜」で、志願者が「学力検査」を受けるから「受検」と言い、私立高校では志願者が「入学試験」を受けるから「受験」と言っていることが分かります。

では、なぜ公立高校と私立高校とでは使い方が違うのでしょうか?

公立高校で「受検」と使う理由

そもそも、なぜ公立高校が「入学者選抜」のために「学力検査」をするかというと、それは公教育であることと関連していました。

第二次世界大戦後に設置された新制の公立高校は、希望者全入が原則になっていましたが、大戦直後、教室が不足していたため、学力検査で入学者を選抜するようになったのだそうです。

そして、前述の「一定の基準に基づいた検査」の意味からすると、試験の優劣で判断するのではなく原則として一定の基準を満たした生徒を受け入れるようになったのではないかと思われるのです。

このように、公立高校で「受検」と使うようになった背景には、学力検査をしなくてはならなくなったという事情があったのです

(出典元:Wikipedia「高校受験」)

私立高校で「受験」と使う理由

一方、私立高校では、公立高校のように、学力が一定の基準に達しているだけでは入学を許可できません。

その他にも、志願者の性格や能力が学校の雰囲気や水準に適しているかどうかが判断材料となります。

そのため、それらを総合的に知るための面接も含めた「入学試験」を行うのです。

私立高校は、戦後の学制改革の対象にならなかったため、独自の基準を設けて生徒を集め、魅力ある校風を作り上げてきました。

こうした背景が、私立高校で「受験」と使うようになった理由の一つになっているようです。

まとめ

「受験」と「受検」の意味の違いと使い分けについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?

今回のポイントをまとめます。

  • 「受験」 → 試験を受けること。私立の学校の入学試験を受けるときに使う。
  • 「受検」 → 検査・検定を受けること。立の学校に入学するための学力検査を受けるときに使う。

「受験」と「受検」。

お子さんの「じゅけん」はどちらなのか、確認しておくのも「じゅけんの第一歩」かもしれませんね。

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「受験」と「受検」の意味の違いと使い分け” に対して2件のコメントがあります。

  1. 野田 久美子 より:

    英検は受験、漢検は受検なのはなぜ?

    1. kakkou より:

      ご質問ありがとうございます。
      それぞれのホームページで確認したところ、確かに英検は受験、漢検は受検となっていました。
      言葉の意味からすると、
      「受験」は、問題に答えたり実技をしたりして、学力・知識・能力などの判断・評価を受けること。
      「受検」は、一定の基準に基づいた検査を受けること。
      です。
      英検の場合は、一次試験(筆記とリスニング)、二次試験(面接形式のスピーキングテスト)となっており、実技も合否の判断材料になっています。
      それに対して漢検は、各級の審査基準に基づいた筆記のみとなっています。
      したがって、英検は受験、漢検は受検、としているのだと思います。

      正確な情報を知りたいのであれば、それぞれの事務局に確認するのが一番よいかと思います。

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