「等(とう)」「など」「ら」の意味と使い分け

「新聞・雑誌などを買う」と書くときに、「など」を」と書くことがあります。

また、「彼ら」を「彼等」と書くこともあります。

「等(とう)」「など」「ら」には、どのような意味があり、どう使い分ければよいのでしょうか?

「等」の意味と使い方

「等」の意味

始めに「等」という漢字を「日本語大辞典(講談社)」で引いてみました。

トウ【等】

音 トウ

訓 ひとしい

①ひとしい。おなじ。「均等・同等」「等質」

②しな。くらい。「下等・高等・中等」「等外」

③段階を示すのに用いる。「三等」

④など。…ら。そのほかにもあることを示すのに用いる。「新聞・雑誌等を買う」

(出典元:「日本語大辞典」講談社)

「等」には「など」「…ら」という意味が含まれていることが分かります。

そして「等」の読みは「トウ」と「ひとしい」であり、「など」と「ら」の読みは示されていません。

そこで、「旺文社国語辞典第九版」を引いてみると、

とう【等】トウ ひとしい  など

(出典元:「旺文社国語辞典第九版」)

と「ら」「など」の読みも示されています。(岩波国語辞典第五版にも「ら」「など」の読みが示されていました。)

本書の「この辞典のきまりと使い方」には「音訓」について、

「常用漢字表」に掲げられている音訓は太字で示した。ただし、字訓については送り仮名の部分は細字で示した。また、常用漢字表には掲げられていなくても、一般によく使われる音訓はこれを補い、細字で示した。

(出典元:「旺文社国語辞典第九版」)

と記されてあります。

つまり、「常用漢字表」では「等」は「トウ」「ひとしい」としか読まれていないけれども、一般的には「トウ」「ひとしい」「ら」「など」と読まれているということです。

常用漢字表(本表)を見ると確かに、

漢字 音訓 備考
トウ

ひとしい

等分、等級、平等

等しい

〔出典元:文化庁新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)〕

となっていて、「…ら」「など」の読みはありません。

「等」の使い方

文部科学省では、「常用漢字表」と「公文書における漢字使用等について」に基づいて、「文部科学省用字用語例」を改定しています。

この「文部科学省用字用語例」は、一般に留意を要する用字用語の標準を示したもので、公用文作成の目安になっています。

文部科学省用字用語例

見出し 表外漢字・表外音訓等 書き表し方 備考
など …等▵ …など 「等」は「とう」と読む
…等▵ …ら これら、何ら、我ら

〔出典元:文化庁新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)〕

そのため、「等」は一般的には「トウ」「ひとしい」「ら」「など」と読まれていますが、公用文では「ら」「など」と読むことができないのです。

したがって、公用文では、「新聞・雑誌などを買う」と書き、「新聞・雑誌等を買う」と書いた場合は「新聞・雑誌等(とう)を買う」と読みます。

「等」は「沿岸漁業等振興法」などの法律の名称や、条文に多く使われています。

また、公用文では「彼等」は「彼ら」と書きます。

「など」の意味と使い方

「等」には「など」「…ら」という意味が含まれています。

それでは、「など」にはどのような意味があるのでしょうか?

「など」の意味

「日本語大辞典(講談社)」によると、「など」とは、

など【▿等▾抔】

①同じようなものを並べて示す。「秋は運動会や文化祭などで忙しい」

②同じようなものの中から一つを例として示す。「鉛筆などで印をつける」

③軽く見る気持ちを表す。「わたしなど、ものの数ではない」

④そのものと断定しないで、他も含まれることを暗に含めていうときの語。「この柄など素敵だ」

⑤強意を表す。「うそなど言わない」

(出典元:「日本語大辞典」講談社)

となっています。

「など」の使い方

上記の①と②の「など」は複数を表す助詞として使われています。

「など」は、「等」と同じくそのほかにもあることを示すときに使います。

「秋は運動会や文化祭などで忙しい」では、ほかにも同じような行事があるけれども、その中から運動会と文化祭を並べて挙げています。

「鉛筆などで印をつける」は、ほかにも同じような筆記用具があるけれども、その中から例として鉛筆を挙げています。

④の「この柄など素敵だ」は、そのほかにもあることを暗に示し一つに断定しない言い方です。

③の「わたしなど、ものの数ではない」と⑤の「うそなど言わない」は、①②④のように「そのほかにもあることを示すもの」ではありません。

「ら」の意味と使い方

「ら」の意味

「ら」についても「国語大辞典(講談社)」を引いてみました。

ら【▿等】

①複数を表す語。など。「彼ら」

②主だったものを示してほかを略すことを示す。「A氏ら三名」

③けんそん・見下しの意を表す。「わたしらのできることではない」「おまえらの出る幕ではない」

④親愛の意を表す語。「子ら」

(出典元:「日本語大辞典」講談社)

「ら」の使い方

「ら」は「彼ら」「A氏ら」「課長ら」などのように、人名や職名などの下につけて、ほかにも同じような人が何人かいることを表しています。

③の「わたしら」には謙遜、「おまえら」には見下しの意味が込められています。

この「ら」の使い方について「NHK放送のことばハンドブック(日本放送協会編)」には、

「ら」「たち」「など」

⑴ 人の場合は……ら。たち。など。

「地元の中学生ら」のように、三人称につけた「ら」は、べっ視の意味・ニュアンスがあると受け取られることもあるので、次のようにする。

ア、複数であることを特に示すことがない場合は省略する。

イ、なるべく、「たち」「など」そのほかの表現に言いかえる。

〈注〉

  • 特に、災害や事故の被害者・遺族、身近な話題の中で取り上げる一般市民、表彰者などに「ら」をつけると、場合によっては違和感が強いので注意する。
  • いわゆる硬派ニュースで、人名を肩書きつきで取り上げる場合をはじめ、ドキュメンタリー番組や歴史物のナレーション、スポーツニュース、画面表記などでは、「ら」を使っても抵抗は少ない。
  • 「ら」には、「そのほか」の意味が含まれるので、A、B、Cの3人を示すのに「Aさん、Bさん、Cさんら」というのは誤り。

〔出典元:「NHK放送のことばハンドブック(日本放送協会編)」〕

とあります。

「ら」には見下しの意が含まれるので配慮が必要です。敬意の表し方が足りないと感じるときには、「……を始め、多くの方々」「そのほかの方々」などと言い換えるのが望ましいと思います。

 

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • 「等」は一般的には「トウ」「ひとしい」「ら」「など」と読まれているが、公用文では「ら」「など」と読むことはできない。
  • 「など」は複数を表す助詞で、そのほかにもあることを示すときに使う。
  • 「ら」は、人名や職名などの下につけて、ほかにも同じような人が何人かいることを表す。

「等(とう)」「など」「ら」は、相互に入れ替えることができる同義語ですが、微妙なニュアンスが含まれる場合があるので、使い方には注意しなければなりません。

(参考:「日本語に強くなる本」省光社)


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