「編成」と「編制」 同音異義語の使い分け
発音が同じで意味の異なる語を「同音異義語」といいます。
「正確」と「性格」、「意志」と「医師」、「柿」と「牡蠣」など多くの同音異義語がありますが、中には意味が似ていて使い分けが難しい語もあります。
そこで問題です。
次の文の(へんせい)に当てはまる漢字を入れてください。
- グループを(へんせい)する。
- 十両(へんせい)の電車。
【正解】
- グループを(編制)する。
- 十両(編成)の電車。
「編成」と「編制」。
この二つの漢字は、どちらを使えばよいか迷うことの多い漢字の一つです。
そこで、今回は、
「編成」と「編制」の意味の違いと使い分け
についてお伝えすることにしました。
目次
「編成」と「編制」の意味の違い
はじめに「編成」と「編制」の意味の違いを「大辞林第三版(三省堂)」で調べてみました。
「編成」と「編制」の意味
「編成」とは
個々のものを集めて、組織のある、まとまったものにすること。「編制」とは
個々のものを組織して、軍隊・団体など、まとまったものにすること。(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
なるほど!!
- 「編成」は「集めること」
- 「編制」は「組織すること」
なんですね。
さらに、「日本語に強くなる本(省光社)」で調べて整理してみました。
一定の単位にまとめる場合に「へんせい」といい、「編成」と「編制」が使われいます。
「成」は「なる・なす」で、「個々のものを集めてまとまった単位にする」ことです。
これに対して、「制」は「たちきって整える」という意味で、「全体を分けてまとまった単位にする」ことです。
「編」は「あむ」という意味で「組み合わせる」ということです。
(出典元:「日本語に強くなる本」省光社)
「編成」とは
「編成」とは、
「個々のものを組み合わせて大きな単位にする」
ことです。
特に
- お金や物
- 作品
- スケジュール
などに対して使われることが多いようです。
人間に対して使用されることもありますが、その場合は「編成」の意味から外れた場合のみとなります。
「編制」とは
「編制」とは、
「大きなものを小さな単位に組む」
ことです。
人間に対して使われることが多く、
「陸軍を編制する」など組織に用いられます。
「編制」は組織にいる人たちを
組みなおして、新しい集団を作るとき
に使います。
最初から組織の一員でない人間を集める際には「編制」の意味に当てはまりません。
編成と編制の使い方
「編成」の使い方
「編成」は、
「3両編成の電車」
という使い方をします。
これは、「1両ずつの電車の車両を組み合わせて、3両編成の電車になる」ということです。
3両編成の電車
あるいは
「予算編成」
という使い方もあります。
これは、「各項目の予算を組み合わせて全体の予算を編成する」ということです。
他にも、「番組を編成する」「カリキュラムを編成する」などがあります。
「編制」の使い方
「編制」は、
「3学級に編制する」
といった使い方をします。
これは、「1学年2学級の子供たちをばらばらにして新たに3学級の学年にする」ということです。
あるいは
「6人ずつでグループを編制する」
という使い方もあります。
これは、「1クラス30人の子供たちを6人ずつのグループに編制して5グループ作る」ということです。
1クラス30人の子供たちを6人ずつのグループに編制して5グループ作る。
その他にも、「空軍を編制する」などがあります。
まとめ
「編成」と「編制」は、「へんせい」と読みますが、意味は違います。
漢字の使い分けに迷ったら、
「編成」
- 個々のものを組み合わせて大きな単位にする。(お金・物・作品・スケジュールなどに対して使われることが多い。)
「編制」
- 大きなものを小さな単位に組む。(人間に対して使われることが多い。)
を思い出してください。
この使い分けを、仕事や勉強に生かしていただけたら、とても嬉しいです。