「収まる(収める)」と「納まる(納める)」の意味の違いと使い分け
「カメラに収まる」
「カメラに納まる」
この場合、「収」と「納」のどちらを使えばよいのでしょう。
このことについて「明鏡国語辞典」で調べてみました。
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「おさめる」を引くと【収める・納める】とあり、
❸[収](しまいこんで)記憶や記録に残るようにする。
「本作品はのち『詩文集』に収められた(=所収された)」
「愛犬をカメラ[フィルム]に収める(=写す)」
(出典元:「明鏡国語辞典」大修館書店)
「おさまる」を引くと【収まる・納まる】とあり、
❹[収・納]絵や写真などの記録にとどめられている。
「澄ました顔して写真[カメラ]に収まっている(納まっている)」
(出典元:「明鏡国語辞典」大修館書店)
つまり「カメラに収まる」は「カメラに納まる」でもよいということになります。
このように、「収まる(収める)」と「納まる(納める)」は使い分けが一定していない異字同訓の漢字の一つです。
この漢字は、ほかの辞書等で調べてみても[収・納]といった記載が多く、どちらを使ってもよいとされています。
そこで今回は、使い分けに悩まなくてすむように、筆者の分かる範囲で用例を整理してみました。
目次
「収まる(収める)」と「納まる(納める)」の意味と使い分け
「収まる(収める)」の意味と使い分け
「収」には、内側に立って取り入れるという意味があります。
①元通りの安定した状態になる(する)という意味。
「争いが収まる」
「怒りを心に収める」
「インフレが収まる」
「風が収まる」
「不平が収まらない」
「丸く収まる」
「物事を円満に収める」
②ある限度に入るという意味。
「原稿用紙400字に収める」
「出費を予算の枠内で収める」
「推理小説のジャンルに収まらない作品だ」
③物の中にきちんと入るという意味。
「目録の収める」
「カメラ・写真に収める」*
「財布に収める」
④取って自分のものにする、手に入れる、という意味。
「成果を収める」
「利益を収める」
「大会で好成績を収める」
※「収容」「収束」「収録」「収益」などの熟語に置き換えると分かりやすいです。
「納まる(納める)」の意味と使い分け
「納」には、外側に立って入れるという意味があります。
①金や物品を支払ったり引き渡したりするという意味。
「税金を納める」
「得意先に品物を納める」
「会費を納める」
②物をきちんと中にしまう、かたづける、という意味。
「書類を金庫に納める」
「遺体を棺に納める」
「刀を鞘に納める」
「カメラ・写真に納まる」*
③ある地位や境遇に満足して落ち着くという意味。
「社長のポストを譲って、会長に納まる」
「椅子に納まる」
「窓際の座席に納まる」
④今まで続けてきたものをそれでおしまいにするという意味。
「歌い納める」
「今年の仕事はこれで納める」
「飲み納める」
「見納め」
「仕事納め」
※「納税」「納品「納棺」「納会」などの熟語に置き換えると分かりやすい。
*「カメラ・写真に収める」「カメラ・写真に納まる」については、「毎日ことば」の使い分けを参考にさせていただきました。
写真に「収める」のがカメラマンで、写真に「納まる」のが被写体、ということです。
まとめ
「収める」
- 元通りの安定した状態になる(する)という意味。「争いが収まる」
- ある限度に入るという意味。「原稿用紙400字に収める」
- 物の中にきちんと入るという意味。「財布に収める」
- 取って自分のものにする、手に入れる、という意味。「成果を収める」
「納める」
- 金や物品を支払ったり引き渡したりするという意味。「税金を納める」
- 物をきちんと中にしまう、かたづける、という意味。「書類を金庫に納める」
- ある地位や境遇に満足して落ち着くという意味。「社長のポストを譲って、会長に納まる」
- 今まで続けてきたものをそれでおしまいにするという意味。「歌い納める」
※あくまでも筆者の分かる範囲で用例を整理したものですので、もしも間違い等がありましたら教えてください。