「趣旨」と「主旨」の意味の違いと使い分け
- 社長から新部門設立の趣旨について説明があった。
- 課長から「~~~、~~~」という主旨の提案があった。
上記の二つの文章の「趣旨」と「主旨」はどのように使い分けているのでしょうか?
今回は、この「趣旨」と「主旨」の意味の違いと使い分けについて調べてみました。
目次
新聞では
「朝日新聞の用語の手引き」や「毎日新聞用語集」を見てみると、「主旨」は「趣旨」に統一されています。
しゅし(主旨)→[統]趣旨
(出典元:「朝日新聞の用語の手引き」朝日新聞出版)
しゅし(主旨)→趣旨
(出典元:「毎日新聞用語集」毎日新聞社
しかし、辞書を引いてみると、両者の意味には明らかに違う部分があることが分かります。
「趣旨」と「主旨」の意味
「趣旨」の意味
「趣」は「心の向かうところ」「わけ」「考え」、「旨」は「おもな内容」「ねらい」「考え」という意味を持っています。
「趣旨」には、
- 文章などで、筆者が言おうとしている内容や事柄。
- その事をするおもな理由や目的。
という意味があります。
(出典元:旺文社国語辞典第九版)
「主旨」の意味
「主」は「おもな」「中心となる」という意味を持っています。
「主旨」には、
- 文章・話などのおもなねらい。
という意味があります。
(出典元:旺文社国語辞典第九版)
「趣旨」と「主旨」の使い分け
「趣旨」は、物事の目的やねらい、また文章や話などの中心となる事柄の意で、「会の趣旨を説明する」「設立の趣旨に賛同する」「ご趣旨はよいと思いますが……」などと使われます。
「主旨」は、物事の中心となる考えや内容の意で、「文の主旨をくみとる」「改訂の主旨」などと使われます。
(出典元:旺文社国語辞典第九版)
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「趣旨」の使い方
- 趣旨の説明
- 条文の趣旨
- 趣旨に反する
- 話の趣旨がよく分からない
- 趣旨が生かされる
- 当初の趣旨に沿って
- 学校設立の趣旨に反する
- 会の趣旨に賛同する
- 趣旨を把握する
「主旨」の使い方
- 立案の主旨
- 主旨がはっきりしない演説
- 論文の主旨
- 主旨を述べる
- 主旨をつかむ
(以上出典元:「日本語に強くなる本」省光社、「広辞苑第五版」「岩波国語辞典第五版」岩波書店、「新明解国語辞典第七版」三省堂、「明鏡国語辞典第二版」大修館書店)
まとめ
「趣旨」
- 物事の目的やねらい、また文章や話などの中心となる事柄
「主旨」
- 物事の中心となる考えや内容
「主旨」は「主」の意味に力点が置かれていますが、「趣旨」にも「中心なる事柄」という意味があり、両者はほとんど同じ意味の言葉として捉えられています。
このように両者の意味には重なるところがあり、使い分けが難しく「ゆれている言葉」と言われています。
ただ、筆者個人としては、「趣旨」は「物事の目的やねらい」、「主旨」は「物事の中心となる考えや内容」、と捉えて使い分けをしています。
もし、どちらを使うべきか迷ったときには、新聞界で「趣旨」に統一していることもあるので、「趣旨」を使うのが無難かと思います。