百年文庫4「秋」志賀直哉、正岡容、里見弴

(004)秋 (百年文庫)

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「流行感冒」志賀直哉

「流行感冒」とは当時日本でも流行していた「スペイン風邪」のことです。

作中に「三四百人の女工を使っている町の製紙工場では四人死んだというような噂が一段落ついた話として話されていた」とありますから、その猛威が分かります。そのような時期、主人公は幼い娘(左枝子)への感染を恐れ、使用人の行動を規制します。

物語は一人の女中(石)の嘘を巡って展開していきます。

「関係が充分でないと、いい人同士でもお互いに悪く思うし、それが充分だといい加減悪い人間でも憎めなくなる」という主人公の心情と、石の左枝子への思いが滲み出てくる温かい物語です。

 

 

 

 

 

「置土産」正岡容

家から出て行ったきり何日も帰らない講釈の師匠を待つ桃川燕林。燕林は師匠如燕の化猫の伝授をひたすら待っているのですが、その機会はなかなか訪れません。化猫とはどんな芸なのでしょう? 

物語はテンポ良く進み、ついに化猫の場面になるのですが……。

落語を聞いているようでおもしろく、ホロリとするところもある話です。

「秋日和」里見弴

夫の七回忌に集まった友人らが、妻と娘の身を案じて世話をやきます。娘はその友人たちと母とのやり取りに嫌悪を抱きますが、やがて親子を取り巻く人々との関係の中で結婚相手を見つけます。

表面に表れてこない親子の心情がひしひしと伝わってきて、最後に感情があふれてくる作品です。章ごとに話者を代える構成が物語に立体感をもたせています。

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