百年文庫6「心」ドストエフスキー、芥川龍之介、プレヴォ―

 

「正直な泥棒」ドストエフスキー 小沼文彦 訳

ドストエフスキーの初期の作品。

酒場で出会った酔っぱらいが家に住み着きます。居候は金もないのに毎日酒に浸っていました。

そんなある日アスターフィイ・イワーヌイッチの上等なズボンが一本なくなってしまいます。

犬っころのように着いてきて、じっと座ったままこっちの目を見ている。そんなイェメリヤーヌシカの姿が印象に残りました。

「秋」芥川龍之介

従兄に好意を寄せていながら別の男性に嫁いだ信子。後にその従兄に嫁いだ妹の照子。

ある日、信子は二人の家庭を訪ねてみました。静かな言葉の中に信子の哀しみがにじみ出てきます。

「田舎」プレヴォ― 森鴎外 訳

なんて味わい深い物語でしょう。

高校を上がったばかりの17歳の少年と23歳の人妻との恋。

16年後、33歳になった彼に彼女から手紙が届きます。彼女は二度目の結婚をしましたが夫の不実に失望していました。手紙には脚本家として活躍する彼に会って相談したいとありました。果してその結末は……? 彼女の内側に秘めた感情があふてきます。

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