「~にかかわらず」「~にもかかわらず」は漢字書きか 仮名書きか?

  • 参加の有無に関わらず、必ず連絡すること。
  • 重要なデータであるにも関わらず、保存されていなかった。

 

上記例文のように「~に関わらず」「~にも関わらず」という文章を見たり、書いたりしたことはありませんか?

実は、筆者は過日「~に関わらず」「~にも関わらず」は「~にかかわらず」「~にもかかわらず」と仮名書きするべきではないかというコメントをいただきました。

そこで今回は、

「~にかかわらず」「~にもかかわらず」の表記

について調べてみることにしました。

「かかわる」は「関わる」、「かかわらず」は仮名書き

まず、「文部科学省用字用語例」を見ると、

見出し 表外漢字・表外音訓等 書き表し方 備考
かかわらず

かかわる

△拘わらず

△拘わる

かかわらず

関わる

…にもかかわらず

…に関わること

[出典元:文化庁新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)]

とあり、「かかわる」は「関」という漢字で表記し、「かかわらず」は平仮名で表記することになっていることが分かりました。

また、「拘」という漢字を「常用漢字表」で調べると、

常用漢字表本表

漢字 音訓 備考
コウ 拘束、拘留、拘置

[出典元:文化庁新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)]

とあり、「かかわらず」「かかわる」という訓はありませんでした。

したがって、公用文では「かかわらず」と平仮名で表記することが望ましいということになる訳ですが、公文書の中にも「障害の有無に関わらず」「指定・未指定に関わらず」などの表記を見ることがあります。このことについてはどう理解すればよいのでしょうか?

「~に関わらず」・「~にもかかわらず」と書く理由

 そもそも、下記の常用漢字表を見ると、昭和56年10月の告示では、「関」の音読みは「カン」、訓読みは「せき」で、平成22年11月の告示で「かかわる」が加わったことが分かります。

何と、このときに「かかわる」を「関わる」と書くことができるようになったのです。

常用漢字表(昭和56年10月告示)

漢字 音訓 備考
関(關) カン

せき

関節、関係、関する

関、関取、関の山

[出典元:文化庁ホームページ]

常用漢字表(平成22年11月告示)

漢字 音訓 備考
関(關) カン

せき

かかわる

関節、関係、関する

関、関取、関の山

関わる、関わり

[出典元:文化庁新訂公用文の書き表し方の基準(資料集)]

では、「にもかかわらず」はどう表記すればよいのでしょうか。このことについて、当時、新聞社・通信社・放送各社が議論して「にもかかわらず」と仮名書きにすることに決めました。

その根拠は、多くの辞書が「かかわらず」を「拘わる」、「にもかかわらず」を「にも拘わらず」と表記し、「かかわる」から独立した語として扱っていたことにあります。

それにしても、何故「にも拘わらず」を「にもかかわらず」と仮名書きにしたのでしょう。

「毎日新聞用語集2020年版 Kindle版」には、

かかわる(係わる、拘わる)→関わる

(注) 逆接の意味の「…にもかかわらず」は仮名書き。

「天候に関わらず実施」などは漢字書きでよい。

(出典元:毎日新聞社. 毎日新聞用語集2020年版 Kindle版)

とあります。

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これにならうと冒頭の例文は、

  • 参加の有無に関わらず、連絡すること。
  • 重要なデータであるにもかかわらず、保存されていなかった。

 

となります。

その上で明鏡国語辞典第二版を読むと、「に関わらず」「にもかかわらず」と表記する理由が分かってきます。

かかわら-ず【▿拘わらず・関わらず・▿係わらず】

《「…に(も)—」の形で》

❶…に関係なく。「晴雨に—決行する」「点数に—採用する」

❷…であるのに、それでも。「悪天候にも—出航した」

 

に-も-かかわらず【にも▿拘わらず】

前に述べた事柄を受けて、それに反する行動をとる意を表す。…(な)のに。

「荒天—船を出す」

(出典元:「明鏡国語辞典第二版」大修館書店)

「かかわらず」を漢字で表記するとすれば「▿拘わらず」「関わらず」「▿係わらず」がありますが、「▿拘わらず」と「▿係わらず」は表外音訓(常用漢字表で認められていない音訓)なので、使えるのは「関わらず」だけになります。

「にもかかわらず」を漢字で表記するとすれば「にも拘わらず」になりますが、「▿拘わらず」は表外音訓なので仮名書きになります。

「~に関わらず」と「~にもかかわらず」の例文

「~に関わらず」の例文

  • 晴雨に関わらず決行する。
  • 点数に関わらず採用する。
  • 好むと好まざるに関わらず。
  • 事の大小に関わらず報告する。

「~にもかかわらず」の例文

  • 注意したにもかかわらず失敗した。
  • 悪天候にもかかわらず出航した。
  • 荒天にもかかわらず船を出す。
  • 病弱にもかかわらず、よくここまでがんばった。

(以上出典元:「明鏡国語辞典第二版」大修館書店、「新明解国語辞典第七版」三省堂、「旺文社国語辞典第九版」旺文社)

 

まとめ

公用文あるいは公用文に準ずる場合

・逆接の意味の「…にもかかわらず」は仮名書きする。

(例)悪天候にもかかわらず出航した。

・「…に関係なく」という意味のときは「関わらず」と漢字書きしてよい。

(例)晴雨に関わらず決行する」

(補足)

「明鏡国語辞典第二版」は、「かかわらず」の項で、

⑴伝統的には「拘」。「関」「係」も使われてきたが、今後は常用漢字表内訓の「関」が増えるだろう。

(出典元:「明鏡国語辞典第二版」大修館書店)

と注記し、「かかわらず」の表記は今後変化していく可能性があることを示唆しています。

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