「続柄」は「ぞくがら」か「つづきがら」か? 国語辞典を紐解く

申告書や申請書等に「続柄」を記入する欄がありますが、この「続柄」の正しい読み方をご存知ですか?
「ぞくがら」なのか「つづきがら」なのか迷う方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、「続柄」の読み方は「ぞくがら」なのか「つづきがら」なのか、詳しく調べてみることにしました。

「つづきがら」と「ぞくがら」を国語辞典で引くと

「日本語に強くなる本(省光社)」によれば、「続柄」という語は、昭和初期の国語辞典に初めて「つづきがら」として掲載され、昭和30年代後半に、空見出しとして「ぞくがら」が登場したようです。

参考▼

「空見出し」とは、見出し語として掲載されているけれども、詳しい解説がなくて、他の項目を参照している見出しのことをいいます。

手持ちの辞書を引いてみると、

日本語大辞典
つづきがら【続(き)柄】血族・姻族の続き合い。
ぞくがら【続柄】「つづきがら」の慣用読み。

(出典元:「日本語大辞典」講談社)

岩波国語辞典第五版
つづきがら【続(き)柄】親族の関係。血族関係。続き合い。俗に「ぞくがら(続柄)」とも言う。
ぞくがら【続柄】⇨つづきがら

(出典元:「岩波国語辞典第五版」岩波書店)

新明解国語辞典第七版
つづき【続(き)】
―がら【―柄】親族としての、つながりぐあい。
※ぞくがら【続柄】の記載なし。

(出典元:「新明解国語辞典第七版」三省堂)

とあり、三者は、「つづきがら」を【続(き)柄】と表記し、(き)と送り仮名を付けています。
これは、内閣告示「送り仮名の付け方」通則6の「許容 読み間違えるおそれのない場合は、次の(  )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。」を参考にしたものと思われます。
「ぞくがら」については、日本語大辞典は「つづきがら」の慣用読みとし、岩波は空見出しにして「つづきがら」を参照するように示しています。また新明解は「ぞくがら」の項目を起こしていません。
しかし、三者とも「続柄」も「続き柄」も「つづきがら」と読むということは共通しています。

参考▼

かんようよみ【慣用読み】

本来は正しい読み方ではないが、広く一般でもちいられるようになったため、完全な誤りとはいえなくなっている読み方。「借問(しゃもん)」を「しゃくもん」と読む類。

(出典元:「日本語大辞典」講談社)

※「慣用読み」については当サイトでも取り上げていますので、ご参照ください。

慣用読みとは? 「貼付」「早急」「出生」「重複」「固執」

明鏡国語辞典第二版
つづきがら【続き柄】親族としての関係。俗に「ぞくがら(続柄)」とも。
ぞくがら【続柄】⇨つづきがら

(出典元:「明解国語辞典第二版」大修館書店)

旺文社国語辞典第九版
つづき【続き】
―がら【―柄】親族としての相互の関係。続柄 ぞくがら。
ぞくがら【続柄】「つづきがら」を読みかえた語。

(出典元:「旺文社国語辞典第九版」旺文社)

明鏡は、「つづきがら【続き柄】」と「き」に( )を付けずに表記し、「ぞくがら(続柄)」をな言い方と述べています。
旺文社も【続き柄】と表記していますが、「ぞくがら【続柄】」は「読みかえた語」とやや柔らかく表現しています。
「ぞくがら」を空見出しにして「つづきがら」を参照するように示したり、「俗な言い方」「慣用読み」「読みかえた語」としていることから、「続柄」の本来の読みは「つづきがら」であることが分かります。

「ぞくがら」という言い方が生まれたのなぜ?

では、なぜ「ぞくがら」という言い方が生まれたのでしょう?
「日本語に強くなる本」には次のようにあります。

発音の便利さのため、職場用語として読み合わせなどのときに字音によって読む「ぞくへい」とか、「ぞくがら」と読む場合がある。

(出典元:「日本語に強くなる本」省光社)

つまり、字音による読みやすさから「ぞくがら」と読むようになった、ということのようです。

「つづきがら」には「続き柄」と「続柄」の二つの表記がある

ここで気になるのが「続き柄」と「続柄」の二つの表記がある点です。
「つづきがら」を法令では「続柄」と送り仮名を付けずに表記しています。

戸籍法施行規則
第五十五条 戸籍法第四十九条第二項第四号の事項は、左に掲げるものとする。
一 世帯主の氏名及び世帯主との続柄
二 父母の出生の年月日及び子の出生当時の父母の年齢
三 子の出生当時の世帯の主な仕事及び国勢調査実施年の四月一日から翌年三月三十一日までに発生した出生については、父母の職業
四 父母が同居を始めた年月

一方、新聞などでは「続き柄」と送り仮名を付けて表記しています。

つづく 続く—続き、続き柄、続き具合、続き物
(出典元:「朝日新聞の用語の手引き 新版」朝日新聞出版)

つづきがら 続き柄
(出典元:毎日新聞社. 毎日新聞用語集2020年版 Kindle版)

現行の帰化届・婚姻届・出生届・養子縁組届・離婚届などはどうなっているのでしょうか?
調べてみると、多くの様式に「父母との続き柄」という欄があり、「続き柄」と「き」で送っていました。
一方、申告書や申請書などの様式を見てみると、住民票等の写しや印鑑証明書などを交付してもらうための証明書等交付申請書には「必要な方との続柄」、年末調整の扶養控除等申告書では「あなたとの続柄」、確定申告では「世帯主との続柄」となっていました。
「続き柄」という表記は、送り仮名を付けることによって「つづきがら」という本来の読みに誘っているように思います。明鏡と旺文社の見出し語「つづきがら【続き柄】」から、本来の読みは「つづきがら」であるという主張を感じました。
一方の「続柄」は法令で使われている表記です。申告書や申請書などは法令に準拠して「続柄」にしているのではないかと思われます。(これはあくまでも私見ですので、お詳しい方、是非教えてください。)

まとめ

「つづきがら」には「続柄」と「続き柄」の二つの表記がある。

  • 法令では「続柄(つづきがら)」。
  • 新聞などでは「続き柄(つづきがら)」。

「続柄」を、俗に「ぞくがら」と読むこともある。

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