百年文庫14「本」島木健作、ユザンヌ、佐藤春夫

 

「煙」島木健作

主人公の耕吉のことを語り手は「彼は若くして人生の途上に重大な蹉跌を経験してきた者であった」と述べている。そんな耕吉が叔父の営む古本屋で働き始め、はじめて洋書市の競売を経験する。そこで彼はディッケンズ全集に張り込んだ札を入れた。そして……。

終末場面の主人公の心情に思わず共感してしまった。 

「シジスモンの遺産」ユザンヌ 生田耕作 訳

愛書家が遺した類稀な蔵書を執拗に狙う男の話。彼はグーテンベルク本、揺籃期本などを手に入れるために手段を選ばない。その奇策の連続が実に面白い。

「帰去来」佐藤春夫

作者の小説を初めて読んだのだが、その一文の長さには驚いた。谷崎潤一郎のそれをはるかに上回るものではないかと思う。

物語の作家は同郷の青年から教えを請われる。青年は文学を志望しているが、そのための学費は出してもらえない。それならば、最初からその学費を資本にして商売をしたいという考えを持っていた。作家は青年との交流の中で、人間の生き方について考える。

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