百年文庫31「灯」夏目漱石 ラフカディオ・ハーン 正岡子規

「琴のそら音」夏目漱石

男が婚約者がインフルエンザで寝込んでいることを友人に話しました。友人は男にインフルエンザは命に関わることもあると教えました。男はそのことが気になり不安な一晩を過ごし、次の朝早く婚約者に会いに行きました。すっかり元気になっている婚約者に訪問の理由を問われ、男は返答に困ります。一人で勝手に事を苦にすることは現代でもよくあることで、そんな人間の姿が如実に描写されていました。

「きみ子」ラフカディオ・ハーン 平井呈一 訳

作者の日本名は小泉八雲。日本研究家としても著名です。

あい子は位階が高い家に生まれ相応の教育も受けましたが、明治維新後に家が没落し芸者「きみ子」として生きていくことになります。きみ子は、芸者を疎外するようなこともない両親を持つ青年の家に入ることになりましたが、結婚を前に急に姿を消してしまいます。きみ子の胸の内はどうだったのでしょうか? 最後にきみ子の深い愛を知ることができました。

「飯待つ間」「病」「熊手と提灯」「ランプの影」正岡子規

「飯待つ間」:病床にある主人公が昼食のできるのを待つ間の出来事を綴った作品です。垣の外から聞こえてくる音を聞き、子供たちが猫をいじめる様子を描いています。

「病」:結核を患う主人公が大連から船で帰国し、検疫を経て神戸病院に入院するまでのことが書かれています。

「熊手と提灯」:酉の市でもとめた熊手を持って歩く人たちの姿を事細かに描写しています。

「ランプの影」:病床で天井や襖を見ているうちに、それが人の顔に見えてきます。熱がありながらも原稿を書いていると、今度はランプの火の影に人の顔が現れます。

高浜虚子、長塚節らに影響を与えた正岡子規の写生文の魅力が味わえる四編です。

(031)灯 (百年文庫)

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