百年文庫52「婚」久米正雄 ジョイス ラードナー
「求婚者の話」久米正雄
主人公の鈴木八太郎は、下宿の窓下を通った女性に一目惚れし、その30分後に女性の父親と会い結婚の約束を取り付けました。
それから29年後、八太郎の所に青年が訪ねてきて、彼の娘を頂きたいと告げました。まさに29年前の彼と同じ構図です。
青年は彼が妻を貰ったときの行為を知っていました。そのことが物語の結末に大きく関係するのです。
「下宿屋」ジョイス 安藤一郎 訳
肉屋の娘ムーニーは店の番頭と結婚して肉屋を開きましたが、夫は間もなく堕落しました。それで、彼女は夫と別居して下宿屋を開きました。ムーニーの息子はならず者だという評判がたっていて、娘のポリーには家事をやらせていました。
そのポリーが下宿人のドーランと関係を持ってしまいます。ムーニーはポリーが傷つかずに済むよう願い奔走します。
「ポリー」「下へおいでよ。ドーランさんがお前に話があるってさ」という言葉が、物語の結末を知らせています。
「アリバイ・アイク」ラードナー 加島祥造 訳
「アリバイ・アイク」とは仇名で「弁解屋アイク」という意味です。
アイクは攻守に活躍する野球選手ですが、プレイの後に必ず何か一言弁解めいたコメントを残す癖がありました。そうした発言は野球以外のところにも見られ、アイクは心にもない弁解によって婚約者から婚約指輪を返されてしまうのです。
ユーモアがあって、どこかしみじみとする物語でした。
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