百年文庫71「娘」ハイゼ W.アーヴィング スタンダール
「片意地娘」ハイゼ 関 泰祐 訳
舞台はイタリア、ソレント。地元の人々に尊敬されている神父さんがいて、舟渡しのアントニーノも片意地娘と呼ばれているラウレラもその神父さんに見守られながら生活しています。そのアントニーノとラウレラは互いに素っ気ない素振りですが、そのちょっとした描写に互いに好意を寄せていることが分かります。なかなか近づくことのできない二人は、海の上での出来事を契機に心を解きほぐしていき、やがて結ばれます。終末の神父さんの独り言がほのぼのとしていて好ましく感じました。
「幽霊花婿」W.アーヴィング 吉田甲子太郎 訳
舞台はドイツの山中の古城。城主は先祖の財産の残りと往年の誇りを受けつぎ、昔の威容を保とうと懸命でした。
城主には美しい娘がおり、娘は見も知らぬ若伯爵との結婚が決まっていました。ところが、花婿が花嫁を迎えに来る日、予定の時刻になっても花婿は城に現れませんでした。彼は城に向かう途中、盗賊に襲われて亡くなっていたのでした。
しかし、その日遅く、背の高い立派な騎士が黒い馬にまたがって城に到着しました。彼は自分が若男爵の友人であることも、若男爵は亡くなったということも切り出す機会を持てぬまま祝宴の席に着いていましたたが、やがて、「わたしは死人です。…… 墓がわたしを待っているのです。……」と伝えて城をあとにしました。
物語の結末はさておき、この古城のロケーションといい登場人物のキャラクターといい、これを映像にしたらどんなにか見応えがするだろなと思いました。
「ほれぐすり」スタンダール 桑原武夫 訳
歳の離れた資産家と結婚したレオノ―ルは若き曲馬師との恋に走りました。しかし、その曲馬師は金目当ての嘘つきで、座頭の女房を連れてパリへ逃げて行くのでした。レオノールはその事実を知ってもなお曲馬師を愛しました。まるでほれぐすり・・・・・を飲ませられたように。
と、彼女の話を聞いているのが、肌着一枚で外に逃げ出した彼女を助けた若い中尉でした。彼は彼女に恋するようになりますが、それでもなお彼女の曲馬師への恋は覚めませんでした。
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