百年文庫77「青」堀 辰雄 ウンセット デレッダ

「麦藁帽子」堀 辰雄

1932年(昭和7年)に発表された作品。

都会の学校で寮生活をしていた15歳の「私」は夏休みを海辺の村で過ごしました。幼馴染の少女は13歳の娘になっていて、赤いさくらんぼの飾りがついた麦藁帽子をかぶっていました。仲間とベエスボオルや海水浴をしながら「私」はいつも少女のことを気にしていましたが、その気持ちを表に出すこともなく休みを終えて都会へと戻りました。一年後、夏が来て「私」が再び村を訪れると、少女はメランコリックになっていて親しげに口をきいてはくれなくなっていました。少女には親しくしている村の青年がいたのです。少女を幼く見せていた麦藁帽子もかぶっていません。麦藁帽子の匂いが思春期の淡い恋を物語っています。

「少女」ウンセット 尾崎 義 訳

シーフとエレナという二人の少女の短い物語。どこにでも居そうな少女たちの特性を端的に語っています。「女の子はふたりずつ組になる」「女の子たちは徒労組織の素質がない」などといった表現がぴったりしていて、彼女らの背景にある街や住まい、大人たちの描写が克明です。「このアパート街は、真面目な野望を達成するために、痛ましく闘っている、教養ある貧しい中産階級のことを物語っている」といった知的な表現も随所に見られます。
作者シグリ・ウンセットは1928年にノーベル文学賞を受賞しています。

「コロンバ」デレッダ 大久保昭男 訳

都会で教師をしているアントニオ・アザールは、失恋で傷心し田舎に帰りました。そこで彼は田舎娘のコロンバと出会い愛し合うようになり、都会に帰る前に求婚をします。ところが都会に帰った彼の気持ちは揺らぎ始め、断りの返事が届くことを願うようになります。懐疑やためらいにより、アントニオは彼に手を差し伸べてくれるはずだった唯一の愛を失ってしまったのです。彼の知識とか教養とか学問とかが、愛を受け入れる邪魔をしたようです。
作者グラツィア・デレッタは1927年にノーベル文学賞を受賞しています。

青 (百年文庫 77)

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