「機械」と「器械」の違いと使い方
「機械」と言えば、「建設機械」「農業機械」「運搬機械」などの言葉が浮かんできますが、「器械」となるとすぐには浮かんできません。
そもそも「器械」とはどういうものなのかを説明するのは難しく感じます。
そこで今回は、「機械」と「器械」の違いについて調べてみることにしたというわけです。
目次
「機械」と「器械」
講談社の日本語大辞典には次のように書かれています。
【機械】
①からくり。しかけ。
②動力装置をもつしかけ。原動・伝達・作業などの機構をそなえる。
③人にあやつられるもの。
【器械】
動力を持たない、測定・実験・治療などに使う器具。
(出典元:「日本語大辞典」講談社)
「機械」と「器械」の違い
【機】は、からくり、しかけ。「器」よりも入り組んだ道具。
【器】は、入れ物・うつわ。「機」よりも簡単な道具。
【械】は、「道具」「装置」。
ですから、簡単に言えば、
- 「機械」は動力を持つ道具や装置。
- 「器械」は動力を持たない道具や装置。
ということになります。
「機械」と「器械」の使い方
この「機械」と「器械」がどのように使われているのか、朝日新聞の用語の手引きを見ると、
- 「機械」→機械化、機械工学、機械文明
- 「器械」→器械運動、器械音声学、器械体操
(出典元:「朝日新聞の用語の手引き」朝日新聞出版)
とありました。
機械化とは
生産の過程で人手のかわりに機械を取り入れること。
(出典元「日本語大辞典」講談社)
機械工学とは
力学・熱力学・電磁気学などの物理学を基礎として、各種の機械の設計・製作などを研究する学問の総称。
(出典元:「日本語大辞典」講談社)
器械音声学とは
音響ならびに生理器機を用いて実証的に研究する音声学の一分野。サウンドスペクトログラフ、ビジピッチ、エレクトロパラトグラフィー、ファイバースコープなどが用いられている。
器械体操とは
固定された器械・器具(鉄棒、平行棒、あん馬、跳馬、平均台等)を用いて行う体操の総称。
このように見ていくと、
「機械」は、採取、収穫、生産、運搬などに使われる比較的大きな装置であることがイメージされます。
一方「器械」は、測定装置や器具といった比較的小さな装置や道具がイメージされます。
コトバンクの「デジタル大辞泉」には、
[補説]
「工作機械」「包装機械」のように、動力を用いて操作する装置(マシン)を「機械」、「測定器械」「光学器械」のように、人間が直接動かし、比較的小型で小規模な装置や道具(インストルメント)を「器械」と使い分けることが多い。
とあります。
つまり、
- 「機械」は「人間が動力を用いて操作する装置」
- 「器械」は「人間が直接動かし、比較的小型で小規模な装置や道具」
「機械」と「器械」の違いは、動力の有無と大きさにあることが分かります。
「機械」は操作するもの、「器械」は運用するもの
ところで、省光社の「日本語に強くなる本」には、
「機械」は、「工作機械」「包装機械」などと用い、動力がつづく限り一定の運動・作業をつづける特性があり、「操作する」ものである。
「器械」は、「測定器械」「光学器械」などと用い、形を持っていて一定のはたらきをする装置であり、それを活用するのは人間であり、「運用する」ものである。
(出典元:「日本語に強くなる本」省光社)
とあります。
「操作するもの」「運用するもの」という表現が分かりやすいと思いました。
「運用」とは「ものをうまく働かせ使うこと」ですから、「器械」が人間が使う装置や道具であることを一言で言い表しています。
まとめ
「機械」と「器械」の違いと使い方についてまとめます。
「機械」
- 人間が動力を用いて操作する装置
- 操作するもの
- 「建設機械」「農業機械」「運搬機械」「工作機械」「包装機械」「機械化」「機械工学」「機械文明」
「器械」
- 人間が直接動かし、比較的小型で小規模な装置や道具
- 運用するもの
- 「測定器械」「光学器械」「器械運動」「器械音声学」「器械体操」