百年文庫8「罪」ツヴァイク、魯迅、トルストイ
「第三の鳩の物語」ツヴァイク 西義之 訳
ノアの方舟から使者として放たれた第三の鳩の物語です。
第三の鳩は、平和の里を求めて世界の上空を飛んで行ったのですが、どこへ行っても、いたるところが戦争でした。この平和を求めている神秘の鳩の姿を目にしたものはまだ誰もいません。そして(今も)私たちの頭上を不安げに飛んでいるのです。旧約聖書を題材にした小品です。
「小さな出来事」魯迅 竹内好 訳
「私」は、ある小さな出来事を忘れることができません。その出来事はいつも自分に恥を教え、奮起をうながし、勇気と希望を与えてくれるのです。自らを叱責し前に進もうとする「私」の思いが感じられます。
「神父セルギイ」トルストイ 工藤精一郎 訳
トルストイが70歳のときの作品。
隠者生活をしていた神父セルギイの名声が広がり、多くの人たちが彼を訪ねてくるようになりました。しかし、長く隠者生活をしていても彼の欲望は消えていませんでした。彼には神に仕えたいという願望があったのですが、俗世の栄誉によって覆い隠されてしまっていたのです。そして彼は老いてもなお神を探し求めるのでした。
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