百年文庫17「異」江戸川乱歩、ビアス、ポー
「人でなしの恋」江戸川乱歩
嫁ぎ先の夫が夜ごと土蔵の二階に通っていることを知り、「私」は夫の逢瀬を疑います。そして疑惑と嫉妬の中で土蔵に忍び込み、最終的に事の核心を突き止めるのですが、そこに至るまでの迫り方が絶妙なのです。順を追って少しずつ読ませることによって読者の想像を膨らませていきます。
少年探偵シリーズで良く知る作家ですが、大人向けの小説も文句なしに面白いのです。
「人間と蛇」ビアス 西川正身 訳
ブレイトンは裕福で健康にも恵まれている学者です。そんな彼が友人宅の部屋でとぐろを巻いて両眼を光らせている蛇を見付けます。ブレイトンは冷静に対処しようとしますが次第に追い詰められていきます。書斎にいた友人がブレイトンの叫び声を聞き部屋に駆け付けるのですが……。その結末は、最後の一文を読み終わるまで分かりません。
「ウィリアム・ウィルスン」ポー 江戸川乱歩 訳
名門一族のウィリアム・ウィルスンは教会のある学校で、同姓同名、生年月日も同じという同級生と出会います。それからというもの、学校を出てオックスフォードに行ってからも、彼の行くところにはいつももう一人のウィリアム・ウィルスンが現れるのです。放蕩の限りをつくすウィリアム・ウィルスンに付きまとう恐怖が描かれています。
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