「製作」と「制作」の意味の違いと使い分け
「家具を製作する」
「絵画を制作する」
どちらも、何かを「つくる」という意味で使っていますが、どういう使い分けをしているのでしょう?
今回は、
「製作」と「制作」の意味の違いと使い分け
についてお伝えします。
目次
「製作」と「制作」の意味
「製作」と「制作」の意味を辞典で引いてみました。
【製作】
1 道具や機械などを使って品物を作ること。
「家具を製作する」
2 映画・演劇・テレビ番組などを作ること。
プロデュース。
制作。
「記録映画を製作する」
3 詩文・美術作品などを作ること。
制作。
【制作】
芸術作品などを作ること。
「肖像画を制作する」
「番組の制作スタッフ」
以上【出典】「デジタル大辞泉(小学館)goo国語辞書」
「製作」と「制作」の使い分け
「製作」と「制作」の意味を読むと、
- 「道具や機械などを使って品物を作ること」は、「製作」。
- 「映画・演劇・テレビ番組などを作ること」は、「製作」あるいは「制作」。
- 「詩文・美術作品などを作ること」は、「製作」あるいは「制作」。
- 「芸術作品などを作ること」は、「制作」。
と、やや複雑な使い分けがされているようです。
この四つの使い分けを一つずつ考えていきましょう。
1.「道具や機械などを使って品物を作ること」は、「製作」。
「家具を製作する」「医療機器の製作」「機械を製作する」など
実用的な物品を作る場合に使います。
「製作」の「製」は、「こしらえる」という意味で、「製鉄」「製薬」などと用いられます。
それで「製作」は「物をこしらえる」という意味になるのです。
2.「映画・演劇・テレビ番組などを作ること」は、「製作」あるいは「制作」。
「制作」には、「4.芸術作品などを作る」という意味があります。
「製作」には、映画や演劇をプロデュースするという意味があります。
ですから、
実際に作品をつくっている人は「制作者」
で、
資金調達・宣伝・プロデュースに関わる人は「製作者」
と呼ばれているのです。
3.「詩文・美術作品などを作ること」は、「製作」あるいは「制作」。
この「制作」にも、「4.芸術作品などを作る」という意味が関わってきます。
芸術作品としての「詩文・美術作品」をつくるのは「制作」です。
詩文でいえば、
執筆から校正・完成までが「制作」です。
その作品の資金調達・宣伝・プロデュースが「製作」です。
4.「芸術作品などを作ること」は、「制作」。
「制作」の「制」には、「ととのえる」という意味があり、「制定」「制御」などと用いられます。
したがって、「制作」は「新たに定める」「自分の思うとおり仕上げる」という意味を持っています。
そのため、
精神的、独創的な芸術関係に「制作」を用いているのです。
(出典元:「日本語に強くなる本」省光社)
製作・制作の使い分けの例
ものづくり
ものづくりでは、その作品が
芸術性を追求したものであれば「制作」
で、
実用性を追求したものであれば「製作」
になります。
芸術作品と呼ばれる映画や演劇をつくる場合は「制作」
で、
その作品のための資金調達・宣伝・プロデュースは「製作」
になります。
本
本にはさまざまなジャンルがありますが、
文章・写真・絵・デザインなど作品の創作から完成までが「制作」
で、
その本の資金調達・宣伝・プロデュースが「製作」
です。
「製作」の例文
- 医療機器の製作。
- テーブルを製作する。
- 機械部品の製作。
- ○○自動車△△製作所。
- (映画)○○製作委員会。
「制作」の例文
- 卒業制作。
- ロゴマークを制作する。
- 画家として制作する。
- 能面の制作。
- アニメーション制作会社。
まとめ
「製作」と「制作」の意味の違いと使い分けについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
今回のポイントをまとめます。
- 「製作」は、主として実用的な物品をつくる場合に使う。
- 「制作」は、主として芸術的な作品をつくる場合に使う。
- 映画や演劇をつくるのは「制作」で、その作品のプロデュースなどは「製作」。
- 本の完成までが「制作」で、その本のプロデュースなどが「製作」。
映画や出版などの世界では、使い分けが複雑な部分もありますが、一般的には、
「実用的」か「芸術的」か
で判断できます。
今後のお仕事や勉強の参考にしてください。