「児童」と「生徒」と「学生」の 呼び方の違いと使い方
「○○小学校の生徒のみなさん、こんにちは」などという声を聞いて、「生徒ではなく児童なんですよ」と心の中でつぶやいたり、社会人の方が高校時代を振り返って「学生の頃は部活に励んでいました」というのを聞いて、「高校生も学生なの?」などと首を傾げたりすることがあります。
また、音楽教室などに通う幼稚園児から高校生までのみなさんを「生徒さん」と呼んだりするのを聞くこともあります。
このような呼び方の違いや使い方については、興味のあるところです。
そういうわけで、今回は、
「児童」と「生徒」と「学生」の呼び方の違いと使い方
について調べてみることにしました。
はじめに、大辞林第三版で「児童」と「生徒」と「学生」を引いてみました。
目次
「児童」と「生徒」と「学生」の違い
「児童」とは
身体・精神ともにまだ十分に発達していない者。
普通、小学校に在学する者をさすが、児童福祉法では一八歳未満の者をいう。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
「生徒」とは
①学校や塾などで教えを受ける者。
②小学校の児童や大学の学生に対し、中学校・高等学校で教育を受ける者。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
「学生」とは
学校で勉強する人。
特に、大学生をいう。
(出典元:「大辞林第三版」三省堂)
学校教育法による区分
Wikipediaには、もう少し詳しく書かれていました。
それによると、学校教育法および学校教育法や省令等により、呼び方が区分されています。
- 「児童」とは、小学校・義務教育学校(前期課程)・特別支援学校(小学部)の在籍者で、通称「小学生」のことです。
- 「生徒」とは、中学校・義務教育学校(後期課程)・中等教育学校(前期課程)・特別支援学校(中学部)の在籍者と、高等学校・中等教育学校(後期課程)・特別支援学校(高等部)の在籍者で、通称「中学生」「高校生」のことです。
- 「学生」とは、大学の学部・大学院・短期大学・高等専門学校の在籍者で、通称「大学生」「大学院生」「短大生」「高専生」のことです。
- その他、高等専修学校・専門学校・各種学校の在籍者、通称「専門学校生」などは、「生徒」となっています。
学校教育法の条文
学校教育法を確かめてみると、「児童」と「生徒」については、第十八条に、…保護者が就学させなければならない子(以下それぞれ「学齢児童」または「学齢生徒」という。)…、と記されています。
また、「学生」については、第八十八条に、「大学の学生…」という記述が見られます。
「児童」「生徒」「学生」は学校教育法による区分が常識的ですが、法律によっては、次のように年齢の範囲に違いがあるので注意が必要です。
「児童」と「生徒」と「学生」の使い方
「児童」の区分を示した法律
学校教育法の他にも児童の区分を示した法律があります。
- 児童福祉法第四条:この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
- 母子及び父子並びに寡婦福祉法第六条第三項:この法律において「児童」とは、二十歳に満たない者をいう。
- 労働基準法第五十六条:使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。
- 道路交通法第十四条第三項:児童(六歳以上十三歳未満の者をいう。以下同じ。)
「学生」という言葉の使われ方
法律で定められているわけではありませんが、「学生」という言葉は一般に広く使われています。
学生割引
JRのホームページ「きっぷあれこれ」には学生割引乗車券について次の記載があります。
学生割引乗車券
JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒の方で、ご利用区間の片道の営業キロが101キロ以上ある場合、運賃が2割引になります(往復割引乗車券についても学生割引が適用になります)。
これを読むと、JRでは学校によって在籍者の呼び名に違いがあることを前提にして学生割引の対象者を「学生・生徒」としていることが分かります。
学生服
学生服はさらに幅広く、大辞林第三版には、「学生・生徒・児童の通学服。特に、男子学生生徒の黒地・詰め襟・長ズボンの洋服。」とありました。
学生証
学生証については、Wikipediaには「主に大学生以上に交付されるものを言い」「中学生や高校生は生徒手帳を学生証として使用する。」とあり、これについては、学生と生徒の区分がされているようです。(以上出典元:Wikipedia)
「生徒」という言葉の使われ方
学習塾・そろばん・習字・音楽などの教室は、公教育以外の私的教育機関ですので、利用者の呼び方に決まりはありませんが、一般に「生徒」と呼んでいるようです。
大辞林第三版にも「①学校や塾などで教えを受ける者。」とあり、一般に定着した使われ方といえます。
まとめ
「児童」と「生徒」と「学生」の違いと使い方についてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
今回のポイントをまとめます。
- 「児童」とは → 学校教育法では、小学校に在籍する者をいう。法律によってその区分が違う。
- 「生徒」とは → 学校教育法では、中学校・高等学校に在籍する者をいう。一般的には塾などで教えを受ける者も含まれる。
- 「学生」とは → 学校教育法では、大学・高等専門学校・各種学校(専修学校を含む)に在籍する者をいう。「学生割引」など使われ方は広い。
学校教育法による常識的な区分を知った上で、場に応じた使い分けをすることが大切だと思います。