「帰省」と「帰郷」の意味の違いと使い分け

年末年始、大型連休、お盆の時期になると、「帰省客」や「帰省ラッシュ」のニュースがテレビや新聞で取り上げられます。

ところで、この「帰省」という言葉にはどんな意味があるのでしょう? また、「帰省」と似ている言葉「帰郷」にはどんな意味があるのでしょう?

ということで、今回は、

「帰省」と「帰郷」の意味の違いと使い分け

についてお伝えすることにします。

まずは、大辞林第三版(三省堂)で主な意味を引いてみましょう。

「帰省」と「帰郷」の意味

「帰省」の意味

夏期休暇などに、故郷に帰ること。

故郷に帰り父母の安否を問うこと。

「帰郷」の意味

故郷へ帰ること。

(以上出典元:「大辞林第三版」三省堂)

「帰省」と「帰郷」の意味を比べてみて明らかなのは、「帰省」には「故郷に帰ること」のほかに、「父母の安否を問う」という意味があることです。

さらに、「帰」「省」「郷」というそれぞれの字を引いてみると。

「帰」の意味

①かえる。もどる。

「省」の意味

①自分をかえりみる。

②無事かどうか、たずねる。(帰省)

「郷」の意味

①ふるさと。生まれ育った土地

(以上出典元:「日本語大辞典」講談社)

という意味がありました。

  • 「帰省」は「夏期休暇などに、故郷に帰ること」「故郷に帰り父母の安否を問うこと」(※父母がいない場合はそれに準ずる兄弟など、と解釈します。)
  • 「帰郷」は「故郷へ帰ること」

このように、「帰省」と「帰郷」には違いがあります。

「帰省」と「帰郷」の違い

帰る場所の違い

「帰省」は「父母兄弟などの安否を問うこと」ですから、帰る場所は「父母兄弟などがいるところ」です。

それに対して「帰郷」は「生まれ育った土地に帰ること」ですから、帰る場所は「故郷」です。

帰る時間の違い

「帰省」は父母兄弟などの安否を問うために、一時的に戻ります。

「帰郷」には一時的に戻るという意味もありますが、一般的には長期的に戻るという意味で使っています。

ですから、「故郷に戻って、長期に渡って住む」場合は「帰郷」を使います。

ここまでをまとめます。

  • 「帰省」 → 父母兄弟などの安否を問うために、一時的に故郷に戻ること。(一般的には会社や学校の長期休暇を利用して実家に戻ること。)
  • 「帰郷」 → 定住目的で、長期に渡って故郷に戻ること。(例えば、家業を継ぐために故郷に戻ること。)

「帰省」と「帰郷」の例文

それでは、「帰省」と「帰郷」の例文で使い分けをしてみましょう。

「帰省」の例文

  • 電話で、今年のお盆は帰省できないと母に伝えた。
  • 実家まで電車で1時間ほどなので、月に一度は帰省している。
  • 子供たちと海や山で思い切り遊ぶのが帰省中の楽しみである。
  • 彼は仕事のストレスのため、帰省して療養することになった。
  • 会社から帰省先に電話があった。

「帰郷」の例文

  • 東京の会社で働いていたが、家業を継ぐために帰郷した。
  • 父の介護のために帰郷することになった。
  • 帰郷したが、両親とは所帯を別にしている。
  • 東京で暮らすようになって10年になるが、帰郷の念は募るばかりだ。
  • 年内には帰郷して、地元で起業する予定だ。

まとめ

「帰省」と「帰郷」には、故郷を離れて暮らす人が故郷に帰るという共通点がありました。

しかし、その意味には違いがあることが分かりました。

「帰省」とは、故郷から離れて暮らしている人が、父母あるいは兄弟などの安否を問うために、一時的に故郷に戻ることをいいます。

昨今は、遠く離れていてもスマートフォン等で顔を見ながら会話することができるようになってはいますが、父母兄弟との実際の会話は、かけがえのないひと時といえます。

「帰郷」とは、故郷に戻り、またそこで暮らし始めることをいいます。

たとえ父母兄弟などがいなくても、故郷を生活の拠点として暮らしていくことは意義ある帰郷です。

「帰省」は、年末年始、大型連休、お盆などによく使われる言葉です。

その本来の意味を理解し、有意義な「帰省」にしていただきたいものです。

同時に、「帰郷」という言葉も正しく使いたいですね。

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